折り紙に魅せられてきた中で、私はいつも「紙を折ることで生まれる立体の美しさ」に心を惹かれてきました。私の作品は、ただ眺めるためのものではなく、空間に飾り、インテリアとして楽しんでもらうことも大切にしてデザインしています。立体的な造形だからこそ、見る角度によって表情が変わり、空間に静かな存在感をもたらしてくれます。

一方で、そうした立体作品の魅力を、写真や動画だけで十分に伝えることには限界も感じていました。平面のメディアでは、奥行きや構造の面白さがどうしても伝わりきらないのです。

そこで今回、その課題を解決する手段として「3Dスキャン」という技術を試してみることにしました。折り紙の立体構造をそのままデジタル化することで、これまでとは違ったかたちで作品を体験できるのではないか──。そんな思いから始めた実験の結果をご紹介します。

3Dスキャンの工程について

折り紙作品をデジタル化するために、私はiPhone用アプリの WiDER を使用しています。このアプリは、折り目や紙の重なりといった細かなディテールまで捉えることができ、作品の構造を忠実に再現した3Dモデルを作成できます。

スキャンの際は、作品の周囲をぐるりと回りながら、さまざまな角度から何枚も写真を撮影します。アプリはそれらの画像を解析・統合し、ひとつの立体モデルとして組み上げてくれます。折り紙特有の複雑な形状を記録するうえで、とても心強いツールです。


フォトグラメトリとは?

この仕組みを支えている技術が「フォトグラメトリ」です。フォトグラメトリとは、対象物を複数の視点から撮影し、その画像群をもとにソフトウェアが形状を解析し、立体データを生成する技術のことを指します。

複雑な凹凸や繊細な構造を再現するのが得意なため、折り紙のように情報量の多い造形を記録する方法として、とても相性が良いと感じています。


3Dプリントへの挑戦

最近では、この3Dスキャンデータを使って、3Dプリントにも挑戦し始めました。スキャンしたデータは OBJ形式 で保存しており、多くの3Dプリンターで扱える汎用的なフォーマットです。

試みとして、現在ショップページでは10点限定でデジタルデータを販売しています。3Dプリンターをお持ちの方であれば、ご自宅で折り紙作品を立体造形として出力し、まったく新しいかたちで楽しんでいただけます。

これらのデータをご購入いただくことで、ご自身の手で3Dプリント折り紙を制作できるだけでなく、私の「伝統的な折り紙と現代技術をつなぐ試み」を応援していただくことにもつながります。紙の作品とはまた違った魅力を、デジタルならではのかたちで感じてもらえたら嬉しいです。

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Tomoaki HamanakaOrigami designer