折り紙で動物のツノや突起、鋭い先端形状を表現する際には、シャープなシルエットと同時に、立体としての説得力が求められます。先端が細く鋭いだけでなく、空間にしっかりと存在する形を作ることで、作品全体の完成度は大きく向上します。
Kamiori-Studioでは、そのような表現を実現するために「鋭角三角錐」というポリゴン・コンポーネント を多用しています。本記事では、ツノ表現と特に相性の良いこの構造について解説します。

鋭角三角錐とは

鋭角三角錐は、動物のツノや突起表現に使いやすいポリゴン・コンポーネントです。この構造は、紙の頂点(角)=いわゆる「角カド」から折り出せる構造であることが特徴です。
紙の角から折り出されるカドは、
- 自然に先端が細くなる
- 少ない面積で立体感を出せる
- 構造的にシャープな印象を持つ
といった性質を持ち、ツノ・牙・突起といったモチーフと非常に相性が良いカド配置です。
「角カド」とは
角カドは、紙の隅(90度の領域)から折り出されるカドの総称です。そのため、
- 折り進めるほど使用できる紙の幅が減り
- 自然と先端が細く収束する
という形状的特徴を持ちます。
これは、紙の内部から折り出すカド(内部カド)と比べると、構造的に「先端を作りやすい」という大きな利点になります。
紙の使用効率という視点
角構造の重要な特徴として、紙の使用面積が非常に少ないことが挙げられます。
- 紙の内部から折り出すカドに比べ
- 約1/3の面積でカドを折り出すことが可能
これは、構造的に必要な「紙の領域」が異なるためです。
具体例
折り鶴を例にすると、
- 頭
- 尾
- 羽
これらはすべて角カドによって構成されています。
折り鶴が、少ない紙の面積で細く、軽やかな形を保てている理由は、この角構造の効率性にあります。
蛇腹によって生まれる鋭角三角錐
立体角構造は、紙の角部分を蛇腹状に折り、立体折りをすることで立体化することができます。
この構造は、
- 反復が可能
- 長さや太さを調整しやすい
- 折りのリズムが構造としてそのまま現れる
という性質を持ち、応用性が高い構造であることが特徴的です。
また、構造的な強度も高いため、鋭角三角錐は自然に立体として自立します。

特に、
- 帯状に折り出した部分
- ボリュームや存在感を持たせたい場合
鋭角三角錐は、紙を無理なく立体化する構造として機能します。
鋭角三角錐の幾何学的な展開
鋭角三角錐は単体で使うだけでなく、組み合わせることで別の構造へ展開できます。
集合四角錐



基本立方体



このように、立体角構造は立体の骨組みとして機能する構造でもあります。
有機的なツノから、無機的な幾何学立体までを一続きで扱える点が、この構造の大きな魅力です。
実際の作品での使用例
鋭角三角錐は角のあるモチーフ全般に組み込むことができます。これまでの作品では、鹿や牛骨、般若などのツノの構造として使用しています。
鹿

- ツノの途中でツノのボリューム感を出すために鋭角三角錐を使用している。

Deer Bust
Deer Bust v1.0
牛骨

- 牛骨の立体的かつ重量感のあるツノを表現するため、鋭角三角錐を使用している。

Cow Skull
Cow Skull v1.0
般若

- 鋭角三角錐を反復して使用し、ツノの立体感と鋭さを表現している。

Hannya Mask
Hannya Mask v1.0
カド構造の3つの分類
ここで、折り紙における「カド」を折り出す位置によって整理しておきます。
内部カド
- 紙の内部から折り出されたカド
- 360度の領域を使って折り出す必要がある
- 分厚くなりやすい
ボリュームは出しやすいものの、細長い先端表現には不向きな構造です。
辺カド
- 紙の辺から折り出されたカド
- 180度の領域を使用
- 内部カドより薄く、角カドよりは厚い
先端まで同じ太さになる帯状のカドを作りやすい構造です。
角カド
- 紙の頂点から折り出されたカド
- 90度の領域のみを使用
- 3種の中で最も薄く、先細りになる
ツノ・牙・鋭い突起表現に最適な構造です。
鋭角三角錐は応用性の高い基本構造
鋭角三角錐は、
- 紙の頂点を使う
- 面積効率が高い
- 先細り形状を自然に作れる
- 反復・立体化・幾何学展開が可能
という特徴を持ちます。ツノや突起を構造的に設計したいとき、この構造は非常に強力な選択肢になります。
次に角のあるモチーフを折るときは、ぜひ「どのカドから折り出しているか」を意識しつつ、鋭角三角錐を取り入れて設計してみてください。






