折り紙作品の完成度は、作品自体のデザインや技術だけでなく使用する紙によっても大きく左右されます。特に初心者の場合、「どの紙を使えばよいのか分からない」ことが、つまずきの原因になることも少なくありません。

本記事では、紙選びの基本として折り紙に適した代表的な紙10種を紹介します。

紙の基礎知識

紙の基礎知識についてはこちらの記事に詳しくまとめているので、より深く紙について理解したい方はあわせて読んでみてください。

折り紙に使いやすい紙の種類(ベスト紙10種)

ここからは、Kamiori-Studioでも作品制作で実際によく使用している折り紙に適した紙を紹介します。

1. 折り紙用紙

一番ポピュラーな折り紙用の紙で、いわゆる「教育折り紙」や海外でも「Kami」と呼ばれる標準的な折り紙用紙です。

サイズは15cm角が一般的ですが、25cm角や35cm角などもあります 。薄手で折りやすく、厚さは約0.07mm(50kg程度)と非常に薄いのに意外と丈夫なのが特徴 。片面カラーで裏が白のものが伝統的ですが、両面カラーや和柄入りなど種類も豊富です。

⭕️良い点:

  • 折り目がつけやすく保持もしやすい
  • 価格が安価で練習用に使いやすい
  • 紙自体が薄いので細かい折りにも対応しやすい

✖️注意点:

  • 安価な紙の場合、何度も折っていると塗料が落ちて汚れてしまうことがある
  • 紙が薄いぶん、立体的な箱や長期保存したい作品では強度が足りない場合がある

向いている作品:

  • 鶴や手裏剣などの基本作品から、中級向けの複雑すぎない作品まで幅広く使えます
  • 24cmや35cmなど大きめサイズは上級者向けの作品練習用にもおすすめです

2. クラフト紙

クラフト紙は梱包材などに使われる茶色い紙で、「晒して白く加工する前の茶色い紙」のことです 。素朴な風合いと高い強度が特徴で、工作やラッピングなど幅広く使われています 。

折り紙用途では、厚めでコシがあるので70kg以上の厚手の紙として扱うとイメージしやすいでしょう。また、90cm四方などの大きなサイズを切り出したい場合はロールの状態で購入し、自分で切り出して使用します。

⭕️良い点:

  • とにかく丈夫で破れにくく、頑丈さや耐久性に優れるため、折った作品がしっかり自立したり、型崩れしにくい
  • 標準的な四六判サイズよりも一回り大きいハトロン判サイズのクラフト紙が市販されており、大型作品を折るのに適している
  • 15cm、25cm、35cm、50cm四方のサイズでは、カラークラフト紙が市販されており、両面で色を変えたい場合に最適

✖️注意点:

  • 厚みと硬さがあるため、細かい折り込みや複雑な工程には不向き
  • 大きいサイズのクラフト紙は色数が少ない(茶色、白のみ)

向いている作品:

  • 折り箱、大型の動物モデル、幾何学模様の立体物など形をしっかり保持したい作品
  • 大型作品の試作

3. ファーストヴィンテージ

一見渋い名前ですが、折り紙愛好家にも人気のファンシーペーパーです。ファーストヴィンテージはクラフト紙をベースに、使い込まれたようなビンテージ調の色合いと質感が特徴の紙 。

イメージとしては「カラーリングされたクラフト紙」で、淡くおしゃれな色合いが揃っています 。手触りは少しざらっとしてナチュラルで、どこか懐かしい雰囲気が魅力です 。

⭕️良い点:

  • 色バリエーションがユニーク
    定番の赤青黄といった原色ではなく、ターコイズやオリーブ、カシミヤといったくすみ系の色合いが豊富で作品が洗練された印象に仕上がります 。紙そのものに風合いがあるので、この紙で折るだけで高級感のある仕上がりになります。
  • クラフト紙ベースのため、丈夫で折り目も比較的つけやすい

✖️注意点:

  • 標準的な折り紙よりはやや厚手(例えば56kgで約0.10mm程度)のものが多く、折り筋はしっかりつける必要があり、複雑な折りたたみにはあまり向かない
  • 価格は普通の折り紙より高め

向いている作品:

  • 展示用・鑑賞用の作品
    例えば折り鶴でもファーストヴィンテージで折ると一味違う雰囲気になります。
  • 封筒やカードなど紙小物
  • ユニット折り紙のパーツや折り紙の花
    シンプルな折りで紙の色味・質感を活かすと美しい仕上がりになります。
トリケラトプス

トリケラトプス

トリケラトプス v1.0

欠損立方体

欠損立方体

立方体 v1.7

4. タント紙

折り紙好きなら一度は耳にする「タント」。北越コーポレーション製のカラーペーパーで、折り紙用のサイズでも市販されています。

200色以上の豊富なカラー展開があり 、紙の繊維自体を染めているため折り筋を入れても色割れしにくい紙です。

表裏同色で、厚みは約0.118mm(四六判換算で70kg前後)と標準折り紙より厚手でコシがあります 。

⭕️良い点:

  • カラー展開が豊富で鮮やか
  • Amazonなどで折り紙用サイズのものが手に入りやすい
  • 少し厚手ながら柔らかさもあって折り目が入れやすいため、折ると程よい張りが出て、しっかりした作品に仕上がる

✖️注意点:

  • 厚みがある分、折るのに若干力が要る
  • 複雑な工程で、折線が集中する部分は破れやすいことがある
  • 両面同色のため、インサイドアウトを使いたい作品には向かない

向いている作品:

  • 展示用・鑑賞用の作品
  • ユニット折り紙(くす玉)
    しっかり組めて丈夫な作品になりやすい

5. マーメイド紙

名前からしてロマンチックなマーメイド紙。その名の通り人魚を連想させるような波模様のエンボス(表面の凹凸)が特徴の高級ファンシーペーパーです 。

触るとフェルトのような柔らかい凹凸があり、光を当てるとさざ波の陰影が浮かび上がる上品な紙です。

カラーバリエーションも白やパステルからシックな色まで豊富で、しかも四六判70kg~210kgと厚みの種類も幅広く選べます。

⭕️良い点:

  • 紙自体が美しいので、折るだけで作品が洗練された印象になる
  • 厚みの割に手触りが柔らかく、適度なコシがあるので折りやすい
  • 紙が丈夫で、折った後もしっかり形状を保持してくれる
  • 紙色も豊富なため、作品に合わせて色選びできる

✖️注意点:

  • エンボス模様があるぶん、細かい折り筋は若干見えづらいことがある(凸凹の陰影で線が紛れる)
  • 厚手の連量の場合は複雑な折りには不向き
  • 価格が比較的高め

向いている作品:

  • 贈り物や展示用の作品
    例えば折り紙のバラやくす玉など、飾っておきたい作品に使うと映えます。名刺やカードにも使われる紙質なので、折り紙でも名刺入れや封筒、箱ものとの相性も良いです。
  • オブジェ系の作品(折り紙ランプシェード等)
    紙に厚み・コシがあるため、大きめサイズで折るとしっかりした作品ができます。
植物

植物

植物 v1.5

6. カラぺ(tカラペ)

「カラぺ」は極薄のカラーラッピングペーパーで、折り紙界隈では薄紙の代表格として知られています。

正式にはtカラペといい、元々包装用の薄葉紙として発売されたものが折り紙愛好家に重宝されています 。特徴はその薄さで、連量11.3kg(菊判)程度、厚さはティッシュペーパー並みにペラペラです。

しかし特殊な加工で片面に薄くワックス(ろう)が塗ってありハリがあるため、薄い割に折りやすい紙です。

裏打ち(例えばアルミホイルや和紙にスプレー糊で貼って「自作複合紙」を作る)に使われることも多く、単体で折るより他の素材と組み合わせて使う方が初心者には扱いやすいでしょう 。

⭕️良い点:

  • 非常に薄いため、超多重折りが可能で、他の紙と貼り合わせて裏打ち用にも使用できる
    複雑折り紙で何十もの折り重ねが出る作品でも、カラペならスッキリ仕上がりやすい
  • 色数が豊富(20色)

✖️注意点:

  • 薄いぶん紙単体で綺麗に折るのは難しい
    ハリはあるとはいえやはり薄紙なので、雑に扱うとシワになったり破れたりします。折り筋はつけやすいですが、軽すぎてフワッと動きやすいので繊細な作業が必要です。

向いている作品:

  • 超複雑作品や折り数の多い作品(昆虫や人物系作品など)
    ティッシュペーパーのように薄いので、細かい触角まで表現するような折りにも耐えます。またカラペ+ホイルで自作するティッシュフォイル紙の材料にもなります。ティッシュフォイル紙を粘土のように扱って人物の表現をすることもあります。

7. トレーシングペーパー(グラシン紙)

トレーシングペーパーグラシン紙と呼ばれる半透明の薄い紙も折り紙に使えます。光を優しく通す透け感が特徴の紙で、とても薄く滑らか、手に取るとふわっと軽いのが印象的です 。

一般的な折り紙の厚さが約0.07mmなのに対し、グラシン紙は約0.03mmとほぼ半分の薄さしかありません 。

⭕️良い点:

  • 薄いのにハリがあるので折り目がしっかりつく
  • 透けることで、折った作品がまるでステンドグラスのように美しく見える
    色付きのグラシン紙なら重ねた部分で色が混ざり合い、作品に奥行きやニュアンスが生まれる

✖️注意点:

  • 薄くてつるっとしているため、折っている途中でずれやすいことがある
    折り筋自体は付きますが、濃い色の紙だと筋が見えにくいこともあります。
  • 直射日光に長時間当てると色焼けする場合がある
  • トレーシングペーパーの一部は折り返しをすると折線の部分で紙が割れてしまうことがある

向いている作品:

  • ライトにかざすと映える作品
    例えばグラシン紙で折ったランプシェードや窓飾りは、光を通してとても綺麗です。切り紙と組み合わせて窓に貼れば、おしゃれな透かし飾りにもなります 。また、そのまま折るだけでなくラッピングやコラージュにも使えるので、折った後の紙片も無駄なく楽しめます。透ける鶴や幾何学模様のオーナメントなども人気です。
ワイングラス

ワイングラス

ワイングラス v1.1

8. ハイピカE2F

ハイピカE2Fは、マット調の上品な輝きが特徴のアルミ蒸着紙です。竹尾の紙で、99.9%の高純度アルミニウムを真空蒸着しており、表面はゴールドまたはシルバー、裏面は白色になっています。

いわゆるピカピカしたメタリック紙でありながら、鏡面のように強く反射しすぎず、どこか和紙のような落ち着いた風合いがあるのが魅力です。厚みは薄めの連量(68kg)を選ぶと扱いやすいでしょう。

⭕️良い点:

  • メタリックな質感が美しく、折るだけで作品に特別感が出る
  • ゴールド・シルバーの発色が上品で、祝い事や装飾用の作品と相性が良い
  • 裏面が白いため、インサイドアウトのように表裏の色差を活かした作品にも使いやすい
  • 薄めの連量を選べば、標準的な折り紙に近い感覚で折ることができる

✖️注意点:

  • 表面がアルミ蒸着のため、強くこすったり何度も折り直したりすると、キズや折り跡が目立ちやすい
  • 複雑な折りや細かい折り込みでは、蒸着面にシワが入りやすい
  • 光沢のある紙なので、写真撮影時に反射が強く出る場合がある
  • 湿度や温度変化の影響を受けやすい紙なので、保管や作業環境には少し気を使う必要がある

向いている作品:

  • 祝い鶴、正月飾り、クリスマスオーナメントなど華やかさを出したい作品
  • 金属感を活かした昆虫、ロボット、ドラゴンなどの作品
  • 箱、星、幾何学模様のオーナメントなど、シンプルな折りで紙の輝きを見せる作品
折り畳み三角錐

折り畳み三角錐

角錐 v1.4

和紙系の紙(雁皮紙・三椏紙・千代紙)

最後は日本伝統の和紙です。和紙と一口に言っても原料植物によって様々な種類がありますが、折り紙でよく話題に上るのが雁皮紙(がんぴ紙)や三椏紙(みつまた紙)など。そして色鮮やかな和柄が印刷された千代紙も和紙系に含まれます。

9. 雁皮紙(がんぴ)

ジンチョウゲ科の雁皮という植物から作られる高級和紙。繊維が緻密で紙肌が滑らか、薄いのに非常に強靭なのが特徴 。

水に濡れても破れにくいほど強度があり、光沢もある美しい紙です。

薄くて丈夫、ツルっとしたテクスチャーで折りやすさは折り紙界トップクラスと評判ですが、値段も高め。ただ値段に見合った折りやすさがあるとのことで、折り紙上級者にも愛用者が多いです。

染色された色付き雁皮紙も市販されており、小津和紙など和紙専門店で入手できます 。

10. 三椏紙(みつまた)

三椏という植物から作られる和紙で、雁皮紙や楮紙(こうぞ)と並ぶ三大和紙原料の一つ。

雁皮より繊維がやや太く柔らかいため、紙質はしっとりなめらかで温かみがあります。

薄さと強度も十分あり、折り紙に適しています。折るときにはやや柔らかい感じで、雁皮紙のツルツル感よりしっとり折れる感触です。高価ですが、和紙特有の優しい風合いが作品に独特の存在感を与えてくれます (※具体的な折り心地は各和紙のすき具合にもよります)。

11. 千代紙

和紙に伝統的な紋様を色刷りした和柄折り紙のことです。

江戸時代から続く模様入りの正方形和紙で、折り紙や紙人形の衣装、贈答品の飾り貼りなどに使われてきました 。

素材が和紙なので紙質はコシがありつつも柔らかく、独特の質感があります。表面に色鮮やかな模様が印刷されているため、作品の見た目がとても華やかに仕上がるのが魅力です。

現代では洋紙製の柄付き折り紙も「千代紙」と呼ぶことがありますが、本来は和紙製で紋様が豊かなものを指します 。

⭕️良い点(和紙全般):

  • 薄くて丈夫
    和紙は植物の長い繊維からできており、薄くて丈夫という折り紙に理想的な特性を持っています 。布のようなしなやかさがあり、折り目をつけても破れにくく、何度も折る複雑作品にも耐えます。場合によっては紙を湿らせて成形する「湿し折り(ウェットフォールディング)」も可能で、美しい曲線を出すのにも向いています 。
  • 和紙独特の質感・風合い
    和紙の質感・風合いは作品に深みを与え、和のモチーフはもちろん洋のデザインでもアート性が高まります。

✖️注意点(和紙全般):

  • 手すき和紙は製造ロットや産地で厚み・質感がかなり異なる
  • 折り紙専用でない和紙はサイズが大きかったり厚みのばらつきがある
    大きいサイズの和紙は、長方形の大きなサイズで紙の縁が裁断されていない状態で販売されているため、自分で裁断する必要があります。
  • 価格が高め
  • 状態が湿気に左右される
    湿気に和紙は湿度で伸縮しやすいので、湿気の多い時期は柔らかく感じたり、乾燥時はパリッと硬く感じたりすることがある

向いている作品:

  • 極薄和紙(雁皮・三椏等):超複雑な昆虫折りやドラゴンなど
  • 千代紙:折伝承的な鶴や季節の飾り(ひな祭りの雛人形や七夕飾りなど)
マスカレード・マスク

マスカレード・マスク

マスカレード・マスク v1.0


紙の厚みや種類によって、折り紙の体験は全く変わります。最初は難しく感じるかもしれませんが、「この作品にはこの紙が合いそうだな」と考える時間も折り紙の楽しみの一つです。

参考文献や紙専門店の情報もチェックしつつ、いろんな紙を試して 自分のお気に入りの一枚 を見つけてみてください。

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Tomoaki HamanakaOrigami designer